2011年3月11日14時46分、国内観測史上最大となるマグニチュード9.0の東北地方太平洋沖地震が発生し、地震と大津波により、東日本は広域にわ たって甚大な被害を受けました。この震災の影響で、KDDIも東北への中継ルートの一部寸断や、携帯電話基地局などの通信設備が大きな被害を受け、お客さ まへのサービスが一時的にご利用いただけない状況となりました。
KDDIは、東日本大震災を教訓とし、災害対策に対する課題を明らかにするとともに、いかなる場合であっても安定した情報通信サービスを提供できるよう通信ネットワークの整備・強化に取り組んでまいります。
地震発生からの初動体制
KDDIは地震発生後直ちに、社長を本部長とする「災害対策本部」と通信設備の情報収集・復旧を指揮する「運用対策室」、東北総支社 (宮城県仙台市) 内には「現地対策本部」を設置し、早期復旧に向けた指揮体制を確立しました。
地震発生から約1時間後、基幹ネットワークである東北への中継ルートが一部寸断し、東北への通信が一時困難な状況となりましたが、KDDIグループ一丸と なっての復旧作業の結果、地震発生翌日の3月12日には、迂回の通信ルートを構築させることで通信輻輳状態を復旧、13日には被災したケーブルの修復を終 え、正規運用状態に戻しました。
また、震災翌日、全国で最大3,680局が機能停止したau携帯電話基地局については、3月末までに231局に減少しました。
「現地対策本部」(東北総支社内) では、被災状況の把握、全国から動員した車載型基地局と移動電源車の展開、現地支援部隊の派遣受け入れ、燃料・救援物資の調達など、被災した現地の復旧体制を早期に確立。同時に、運用、建設部門をはじめ、KDDIグループ各社や協力会社と連携し、基幹伝送路のルート変更・修復、au携帯電話基地局へのアクセス回線や基地局設備の修復など、通信サービスの早期復旧を進めました。
岩手県・宮城県・福島県におけるau携帯電話の基地局については、既存基地局の大ゾーン化、基地局までの回線に衛星回線や地上マイクロ無線を活用し、4月末までに震災前とほぼ同等のサービスエリアをカバー。6月30日までにau携帯電話のサービスエリアを震災前と同等の品質まで復旧しましたに復旧しました (福島第一原子力発電所の制限地域を除く)。
基幹ネットワークの修復作業
高速道路の被害に伴いケーブル断発生。昼夜問わずの2日間、切断箇所確認と接続復旧作業を実施し早期復旧に取り組みました。
被災地の通信インフラを確保する移動電源車と車載型基地局の展開
通信インフラを確保するため、移動電源車と車載型基地局を投入いたしました。
サービス復旧までの詳細
被災基地局のがれきを撤去し、新しい装置を設置し復旧しました (鳴瀬大浜基地局)。
震災発生時 (最大影響数) | 4/5時点 | 4/22時点 | 6/2時点 | 6/23時点 |
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1,933 | 185 | 124 | 81 | 53 |
7/1 福島原発の制限地域を除き、au掲題電話のサービスエリアを震災前と同等の品質まで復旧しました
復旧フェーズから復興フェーズへ
既存基地局を利用したり、車載型基地局・衛星エントランス基地局などの設置ゾーンの拡大を実現しました。
KDDIグループとして、社員からの募金を含めて義援金10億円を日本赤十字社を通じて寄付しました。また、被災されたお客さまに通信料金支払期限延長、 減免、修理費用の軽減などの料金支援を行いました。また、そのほかにもさまざまな形で被災地への支援活動を継続して行っています。
・メタルプラス電話・auひかり・ケーブルプラス電話などの月額基本料金減額
・au携帯電話サービス・固定通信サービスご利用料金の支払い期限延長
・震災により破損・故障した携帯電話修理費用軽減
・au携帯電話、イリジウム衛星携帯電話の無償貸出
・スマートフォンの災害用伝言板対応
・PCやスマートフォンで東北6県のFM局などを無料で視聴できるサイトを期間限定で開設
・Skype通話1カ月間無償提供
・「KDDIホスティング (G120、S10)」「KDDIペーパーレスFAX」無償提供
・イントラネットサービスをご利用のお客さまへの被災エリア拠点復旧支援
・「被災地支援義援金サイト」開設
・「live earth」東北地方被災地復旧
・避難者の方々へ市町村情報の一斉配信対応
・社員の被災地ボランティア活動支援
・被災地支援物資の提供
・「au Smart Sports」を通じた義援金寄付
大規模災害発生時、早期にサービスエリアを復旧し、お客さまにより高い利便性を提供できるよう、KDDIは新たな取り組みを進めています。
早期のサービスエリア復旧のための設備対策
・移動電源車と非常用発電機を55台から130台に配備増強
・非常用無線エントランス設備を20区間分追加配備し、60区間に配備増強
・衛星エントランスを搭載した車載基地局を15台から20台に増強
・衛星・無線エントランスの双方を搭載可能なキット型可搬基地局を新規に27台配備
・約2,000の携帯電話基地局で、24時間以上稼働可能なバッテリーを2012年度末まで配備
災害時における通信ご利用の利便性向上について
・スマートフォンでの災害伝言板のお客様の使い勝手を改善
・災害時のメール疎通強化
・音声ファイル型メッセージサービスの導入
・緊急速報メール「災害・避難情報」対応機種の拡大
災害対策インフラ整備への取り組み
通信の早期復旧・被災エリアの迅速な対応に向けて、今後のインフラ整備の実施については、「基幹ルートの多重化」「車載型基地局の増強 (20台)、可搬型基地局の各地域への配備 (27台)」「重要拠点をカバーする基地局バッテリーの長時間化」「衛星エントランスによる基地局向け回線の確保 (IPベースの衛星回線の活用)」「仮設住宅や復興拠点の通信確保整備」を予定しています。
スマートフォンの災害用伝言板のサービス対応
スマートフォンからの災害用伝言板の利用は、従来は安否情報の検索のみが利用可でしたが、3/16から他社に先駆けて安否情報の登録を可能としました。
携帯電話を利用した避難誘導の取り組み
安心・安全への取り組みとして、国/地方公共団体から、災害による避難情報を携帯電話に配信する、緊急速報メール「災害・避難情報」を2012年の春より提供を予定しています。
パケット通信などへの誘導の取り組み
災害時において携帯電話の音声呼を100%疎通させることには限界がありました。そこでパケット通信やインターネット (PC)・固定通信への誘導が必要と考え、災害用伝言板の利用訴求を図るため啓蒙活動を図りつつ、音声メッセージのファイル化、SNS、IP利用スカイプ などのVoIP系サービスへの誘導などについて検討しています。